ご案内

アメリカの大学院を卒業しシリコン・バレーで複数のアメリカ企業(HP, eBay, Ariba, Amazon)に勤めたMasaが、仕事に使う道具としての英語の習得法を解説しています。英語はスポーツと同じで練習すれば誰でも上手になります。効果的な練習方法を知りたい人は、キンドル本になった「知って得する英語練習法」を読むか、ITエンジニア向けに作った無料アプリ「IT英語」を読むか、あるいはアップルBooksにある無料の「IT英語」を読みましょう。英語は翻訳せずに使います。効果的な練習をすれば、日本語ができる人は必ず英語もできるようになります。Masaはかつてシリコン・バレーでITエンジニアとして働きながら、英語で英語を教えるアメリカの教育者向けトレーニング(TEFL 80H)も受講し修了しています。英語でさんざん苦労したMasaは、英語で苦労した事がないネイティブとは教え方が違います。入試勉強で学んだ文法と単語と発音のみでは英語を話せるようにはなりません。大事なのは英語表現をカタマリとして覚えることです。

新しい生徒さんに最初にお伝えする大事な事は次の三点です。
1. 言葉は音が基本。読み書きは会話の後で。

2. 練習は視る、聴く、話すの順で。
3. 聴く能力と話す能力は別。

会話ができるようになるためには、ひたすら会話の練習をします。知らない単語や表現は聞き取れないので、知っている単語や表現を増やすために、英語の動画と字幕を使います。同時にシャドウ・スピーキングを使って、話す練習をします。思った事を自然に英語で口から出すのが目標です。日本語から英語に翻訳はしません。英語のまま理解し、理解した事を英語のまま話します。

初級者が英会話で「できる」水準に到達するには1000時間の練習が必要です。毎日11時間英語を使う究極の状況なら3ヵ月かかります。そこで英語国に留学するなら、最低3ヵ月は滞在しないといけません。もし毎日3時間英語を使うなら1年かかります。英語学校に通っても、宿題なしで毎週1時間という遅いペースだと20年かかります。英語を学ぶには練習に費やす時間数が大切で、毎日1時間使っても3年はかかります。Masaのレッスンでは英語の映画を使ってシャドウ・スピーキングの宿題を出します。この宿題で練習時間数を稼ぎます。宿題で聴く練習はできるので、生徒さんとお会いする時は話す練習が中心になります。Masaが映画について英語で質問を出し、生徒さんがそれに英語で答えるという方法です。(中上級者にはさらに英語のニュースやTED Talksも視聴してもらい、それについて質問します。)

宿題では同じ映画を3回英語音声で視ます。最初は英語字幕を出して、知らない単語があればそのつど映画を止めて辞書を引き、単語の意味を日本語で理解します。これで字幕の意味が分かるので、2回目は英語字幕を視ながら英語のセリフを英語で繰り返すシャドウ・スピーキングを練習します。これで意味と音が結びつきます。3回目は英語字幕を消して、再度シャドウ・スピーキングを練習します。聞こえた英語のセリフをなるべくそっくりに口から出すためには、ヘッドフォンやイヤフォンが便利です。俳優のセリフを自分の口でモノマネできれば、シャドウ・スピーキングは完了です。すべてのセリフが真似できなくても、8割ぐらいのセリフが真似できれば十分です。この練習で本番に使える英語表現の数を増やします。なお映画は最初から最後まで視るのに時間がかかるので、映画のチャプターごとに3回ずつ練習してもかまいません。

宿題以外で生徒さんにお願いしているのは、独り言を英語で言う練習です。音として口に出さなくても、頭の中で英語で言うだけで良い練習になります。初級者はまだ知っている英語表現の数が少ないので、なかなか言いたい事を英語で表現できません。ぴったりする表現を知らない場合、それに近い表現を頭の中から探してみましょう。独り言なので他に聞いている人はいません。単語ひとつだけでも独り言になるので、ムカつく(disgusting)とか、冗談じゃない(no kidding)、勘弁してくれ(give me a break)といった、よく映画にも出てくる表現を普段から独り言として練習しておけば、いざという時に思わず口から英語が出てきます。

Frequently Asked Questions (FAQ)
1. 英語の映画を練習に使うのはなぜ?
映像と言葉の音を組み合わせる事で、状況に応じた言葉の意味がよく分かり、いっそう覚えやすくなるからです。それに映画なら内容も面白いので、教材がつまらなくて挫折という心配がありません。映像があれば身振り手振りも覚えられるので、身体言語の多い英語の練習には最適です。初級者は子供用のアニメ映画から始めます。Masaもアニメ映画が大好きでよく視ます。

2. 初級者、中級者、上級者の間でレッスンの何が違うの?
使う映画が子供向きから中学高校生向き、さらに大人向きになる事と、教材として動画だけでなくポッドキャストや英字新聞を使うようになる事、それに会話中心から会話と読み書きが半々になる事です。会話の速さは最初から普通の速さです。使う単語の数が初級者は少なく、上級者は多いというのが大きな違いです。上級者のレッスンには電話での会話、会議での発言、発表(TED Talks)なども加わります。目安としては、TOEIC 730点までが初級者、860点までが中級者で、それを超えると上級者です。

3. 家で英語の動画で練習するなら、レッスンは要らない?
英語動画を使ったシャドウ・スピーキングで英語を聴く練習は家でできます。でも思った事を英語で話す練習はひとりではできません。レッスンでは生徒さんにたくさん英語を話してもらうために、視た映画について話します。それだけでなく、過去一週間で何をしたかも話していただきます。自分から話題を提供するという能動的な練習をするためです。映画で使われた表現を覚えるテストもします。宿題を通じて得た疑問にもレッスンの中でお答えします。生徒さんは日本語で質問できます。

4. 英語の読み書きの前に会話を練習するのはどうして?
これが実は日本の英語教育の最大の欠点です。英文を読む事は英文和訳とは異なり、文を英語のまま順に理解するという行為です。英語はアルファベットという表音文字で書かれているので、文字に意味はありません。英文を頭の中で音読してその英語を聴いて、先頭から順に理解するという作業が英文を読むという行為です。つまり英語を聴く能力がないと、英文を読む事はできません。英語のまま理解した文を覚えておいて、後でそれを使って英文を書くので、まず会話を先に練習します。日本の英語の先生は日本語で英語を教えるので、翻訳中心の授業をします。でも翻訳は会話とは違う技術なので、こうした授業では英文を読む練習にはなりません。英文を英語のまま順に理解できないと、TOEICやTOEFLの点数も上がりません。

5. 文法の知識は会話に必要?
会話に必要な文法は語順と時制と仮定法です。これは英語動画で表現を覚えると自然に身に付きます。日本語でも同じで、ふだん文法を意識しながら言葉を話す人はいません。状況に応じた英語表現をカタマリとして覚えるので、意識しなくても「文法的に正しい」会話ができるようになります。中学で習った語順と時制と仮定法だけ理解していれば十分で、レッスンの中でも再度説明します。

6. 発音を練習するにはどうしたらいい?
シャドウ・スピーキングで俳優のセリフをモノマネします。同じ音に聞こえるようになるまで、何度も口の形や舌の位置を調節します。でも一番大切なのは単語に正しい強弱アクセントを付ける事で、アクセントさえあれば英語に聞こえます。日本語では抑揚が大事で、英語ではアクセントが大事です。iOS版「IT英語」アプリに発音テストがあるので、これを使うと自分の発音の弱点が分かります。

7. レッスンは何回受ければいい?
これは生徒さんのゴールによります。英語動画を使った宿題のやり方はすぐ分かるので、2回のレッスンで満足する人もいれば、3ヵ月と期間を決めて始める人もいます。毎週1回のレッスンが標準なので、3ヵ月なら12回です。なるべく短期間に集中して練習する方が効率が良いため、長くても1年で区切りを付けるようにしています。レッスンの回数よりも毎日何時間を宿題に使えるかが大切です。毎日1時間を英語の練習に使える人は、毎日30分練習する人の倍の速さでゴールに到達します。

8. 練習時間を増やすには?
夜寝るときや朝起きるときにAFNを聞くと効果的です。通勤・通学の時間も英語の練習をします。辞書を引いた単語の意味と発音を覚えたり、これは使えると思う表現を覚えるのは家にいなくてもできます。日本語のテレビを視る時間を減らして、そのかわりNHKの海外向け英語放送をネットで視聴します。BBCの英語放送もネットで聞けるので、運動しながら、あるいは料理しながらでも聞いて英語に慣れます。中級になると英語のポッドキャストも使うので、これなら歩きながらでもシャドウ・スピーキングができます。ただし、車の運転中は運転に集中するために英語の練習はしません。

9. 英語の世間話はなぜ難しい?
仕事の会話よりも世間話が難しいのは、話題がころころ変わるからです。そのため色々な分野の単語を知らないと会話になりません。仕事の会話なら使う単語も限られており、よく知っている分野なので話題も豊富です。ところが大人の世間話となると、こうした縛りがないので語彙力が試されます。経済の話、政治の話、芸術の話、科学の話、音楽の話、食事の話、洋服の話、教育の話など英語のニュースを普段から聞いていないと知らない単語や表現が出てきます。地球温暖化について自分の意見を言ったり、消費税の使い道について自分の考えを英語で言えますか。こういう場合は自分から得意分野の話題を出して、会話をコントロールするという技術も必要です。例えば最近開店したレストランに行った話は食いつきの良い話題です。オチがある失敗談も人気があります。逆に自分の自慢話は避けましょう。

10. 本を読めば英会話は上手くなる?
もちろんなりません。英会話はスポーツと同じで、練習しないとうまくなりません。泳ぎを学ぶには水の中で体を動かします。自転車に乗るには何度も転んでバランスの取り方を覚えます。英会話を学ぶにはたくさん英語を聴いて話します。それには英語の映画を視てシャドウ・スピーキングをするのが一番です。よく使う英語表現を宿題を通じて頭に入れたら、次にそれを使って自分より上手い人と英会話を練習しましょう。

11. 子供に英語を教えるにはどうすればいい?
子供には英語を学ぶ動機がないので、親がお手本を見せて一緒に学ぶのが一番です。それに子供だけ英語を学んでも使わないとすぐ忘れるので、英語を話す友達をどこかで見つける必要があります。親が子供と英語で毎日会話する時間を設けるのも良い練習になるので、ここでも英語の子供用アニメ映画が役立ちます。もしお金があれば、毎年夏休みに1ヵ月ぐらい外国に行き現地の子供と現地語で遊ぶと、子供はすぐ上達します。

12. ビジネス英語を学ぶには
日本語には特有のビジネス表現があり、新人は研修やOJTで学びます。電話の取り方やメールの書き方、会議での発言の仕方などが含まれます。英語にもビジネス表現があり、インターンや新人がOJTで学びます。ただし英語には敬語がないので、普段の会話とビジネスの会話に大きな差はありません。英語のビジネス表現を学ぶにはビジネス場面の多い英語の映画が役立ちます。中級から上級に相当する生徒さんが学ぶ英語です。ビジネスで使うメールの文例はたくさんインターネット上で見つかるので、「business mail example」で検索します。ただし見つかるページは英語なので初級者には向きません。ビジネス英語を学ぶには中級者に相当する実力が必要です。電話の取り方はコーチと組んで練習します。

2023年12月29日金曜日

infinite and infinitesimal

「無限大と無限小」という意味です。「infinite」が「無限大」で、それに「simal」が付くと「無限小」になります。無限に小さいものという意味です。「infinite」のアクセントは最初の「i」にあり、「infinitesimal」は中間の「e」にあります。

2023年12月24日日曜日

imposter scam

「オレオレ詐欺」に相当します。誰かの振りをするimposterと詐欺scamの組み合わせです。

2023年12月16日土曜日

read the room

「部屋を読む」から日本語の「空気を読む」に相当します。部屋に集まっている人々の様子や雰囲気を見定めるという動作です。「read the room before telling any joke」(冗談を言う前にその場の空気を読め)というのがパーティーに参加する人のエチケットだとこちらの記事[^1]にありました。

2023年12月9日土曜日

The suspect remains at large.

「容疑者は逃走中」という意味です。「at large」が「逃走中」に相当します。「広くあまねく」という意味もあり、「the public at large」が「社会全般」という意味になります。「at large」は「広い世界のどこかにいる」という意味から「行方不明」という意味にもなります。

2023年12月1日金曜日

impersonator

「ものまね芸人」という意味です。本人そっくりの人がショーやイベントでモノマネ芸を披露するもので、エルビス・プレスリーやマイケル・ジャクソンなどが人気です。もう死んだ人のモノマネなので、ホンモノとまちがえる事は絶対ありません。このあたりは日本と逆で、日本では生きている人のモノマネが多くて、死んだ人のモノマネはあまり見かけません。死んだ人をネタにお金を儲ける事に後ろめたさがあるのでしょうか。でも政治家をおちょくるモノマネなら、アメリカでも生きている人が中心です。

2023年11月24日金曜日

日本の英語力低下

日本の英語力が低下[^1]しているそうです。特に若い世代の低下が目立つそうで、コロナの影響と見られています。インバンドが蒸発した結果、英語を必要とする機会も激減したという見方です。もうひとつの可能性は、AIによる機械翻訳で用が足りるようになったというものです。生成AIも登場し、若い人が「もう英語は勉強しなくてもいい」と考えたとしても不思議はありません。筆者も9割の人はスマホで機械翻訳すれば十分だと思います。なので日本の英語力低下はあまり国際競争力の低下にはつながらないと期待します。ただし、ひとりひとりの可能性という意味では大問題で、日本の内向きが加速すると予想します。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE181BB0Y3A111C2000000/

2023年11月17日金曜日

rabbit hole

「野ウサギの穴」から転じて「難しい状況」という意味です。「fall down the rabbit hole」(ドツボにはまる)という使い方が普通です。「不思議の国のアリス」で最初にアリスが野ウサギの穴に入る場面を思い浮かべて覚えましょう。

2023年11月10日金曜日

出稼ぎ留学

「ワーキングホリデー参加者が急増」[^1]しているそうです。ある程度英語が分かれば仕事になる職種もあり、日本でバイトするよりお金になるうえ、海外経験を積みながら英語も学べるという利点があります。下手な英語学校に留学するよりもコスパが良さそうです。人気の渡航先はカナダやオーストラリアで、日本からワーキングホリデー制度で行ける国は20ヵ国以上あります。こうした「出稼ぎ留学」は円安となったいま、もっと人気が高まると予想します。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC269NE0W3A920C2000000/

2023年11月2日木曜日

swing and a miss

野球で「空振り」という意味です。MLBの中継を英語で聴いていると、この表現に出くわします。バットを振るのがswingで、そのボールに当たらなければmissとなります。日本に野球が入ってきたのは正岡子規の時代ですから、明治時代です。当時の日本人は英語のルールブックを日本語に翻訳するうえで、「空振り」とか「三者凡退」などの新しい単語を生み出しました。「三者凡退」とは良くできた四文字熟語で、これに相当する英語は「one-two-three inning」であり、日本語ほどコンパクトな表現ではありません。

2023年10月20日金曜日

I'll give you that

相手の言った事に部分的に賛成する会話表現で、日本語の「確かに」とか「間違いない」という返事に相当します。「Oh, he’s charming enough, I’ll give you that, but I wouldn’t trust him an inch.」(彼は十分魅力的だし、それは確かだけど、彼の事はこれっぽっちも信用できないわ。)という具合に使います。「I give you that」と「’ll」が省略される事もあります。

2023年10月14日土曜日

make a mountain out of a molehil

「大げさに言う」という意味です。「molehill」はモグラが住んでいる丘なので、ほとんど木がない平地のような場所です。それを「山」と表現するのは「針小棒大」というわけです。

2023年10月7日土曜日

よろしくお願いします

英語でこれに相当する表現はありません。英語のポッドキャストを聴いていると、たまに「Welcome to our show」という挨拶をする司会者もいます。「Thank you for joining us」というのもあります。でもほとんどの場合いきなり本題に入るので、「よろしくお願いします」という挨拶は不要となっています。筆者は日本語で「よろしくお願いします」と言われると、いつも何を「よろしくお願いします」なのか疑問に思います。「お願いします」には目的語があるはずで、それを言わずに曖昧にしておくのが日本語らしくもあり、個人的には落ち着かない点でもあります。筆者はこの表現を「協力をお願いします」という意味だと解釈しています。あるいは「仲良くやりましょう」という可能性もあります。便利な挨拶ではあるものの、英語には無いのであえて翻訳する必要はありません。

2023年9月29日金曜日

dress-down and dressing-down

似てるけど意味が違う表現です。dress-downは「くつろいだ服装をすること」という意味です。日本語にも「ドレスアップ」というカタカナ語があるので、その反対です。これがdressing-downになると「しかりつけること」になります。もともとは同じdressという動詞が元になっており、自動詞として使うと「くつろいだ服装をすること」で、他動詞として使うと「しかりつけること」になるという単語です。これには「ムチを打つ」という意味もあるので、罪人などにムチを打つとき、服を脱がせた事に由来します。

2023年9月23日土曜日

インド人の強みは英語

この記事[^1]はインド人が数字に強いと指摘しています。確かに19x19までのかけ算を暗記しているので、インド人のエリートは暗算が得意です。でもアメリカのIT企業にインド人のトップが多い理由は、英語が得意という事です。しかも日本の10倍の数の国民の中で競争してきているので、精神的な強さも日本の10倍とみて良いでしょう。つまりそれだけハングリー精神が旺盛です。筆者は10x10を越えるかけ算は暗記する必要はなく、概算する方法だけ知っていれば十分だと思います。19x19なら20x20より少し小さいとか、15x15なら10x20に近いという具合です。スマホに電卓が入っているので、細かい数値が欲しければスマホで計算します。ビジネスでは計算力より英語力の方が大切です。

2023年9月15日金曜日

soapbox

「石けんを詰める木箱」から転じて(木箱の上で)「即興演説をする」という意味です。日本で言えば「ビールケース」に相当します。ただし日本のビールケースは「お金がない」という表現なので、「即興演説をする」という意味からは外れます。日本の政治家の即興演説は過去のものであり、ビールケースにそうした意味がなくても不都合はありません。駅前で演説する場合は車の上から行うのが普通で、「車上演説」となります。

2023年9月8日金曜日

pull a thread

「調べる」という意味です。布の端に一本の糸が出ている時、その糸がどこに繋がっているのかをたどっていく場面を想像して覚えましょう。動詞としての「thread」には「(針に)糸を通す」という意味があります。「thread」(糸)より太いのが「string」(ひも)で、さらに太いのが「rope」(縄)です。傷口を縫い合わせる時に使う糸は「suture」といいます。

2023年9月1日金曜日

naive

フランス語由来の「naive」は「うぶな」とか「未熟な」という意味です。日本語英語としての「ナイーブ」には「繊細な」とか「傷つきやすい」という意味があり、英語と違うので注意が必要です。誤用を避けるには「ナイーブ」ではなく、「繊細な」や「傷つきやすい」という日本語を使いましょう。カタカナ英語には意味不明なものが多いので、ふだんから日本語英語を意識して避けるのも英語上達に役立ちます。

2023年8月24日木曜日

閉塞感対策

若者は日本に閉塞感を感じているらしいので、そういう人は海外で働くか勉強する事を勧めます。日本を出て日本の良さに気付く人もいれば、逆に現地の居心地が良くて日本に戻らない人もいます。身の回りの世界が日本だけで閉じているから閉塞感を感じるので、日本と違う世界を経験すればもう閉塞感はありません。外国語を使う環境に自分を放り込む事で、いやでもその外国語が身につきます。違う考え方、文化、芸術には人を変える力があります。

2023年8月18日金曜日

There's nothing to it.

「造作も無い」つまり「簡単だ」という意味です。この一文だけで使います。

2023年8月11日金曜日

You heard me say this

「自分がこう言うのを貴方は聞いた」という意味から「前にも言ったけど」に相当する表現です。この言い出しに続いて、自分が強調したい事を繰り返すと効果的です。米大リーグ・エンゼルスのGMがインタビューで使っていました。「前にも言ったけど」という表現には「I said this before」もあります。こちらには少し「同じ事を何度も訊くな」という気持ちが入るのに較べて、「You heard me say this」にはそうした否定的な気持ちはうかがえません。

2023年8月2日水曜日

そりゃそうだよ

『学力テスト中3英語「話す」正答率12%』という記事[^1]があります。当然ですね。先生にできない事は生徒にもできません。同じ英語のテストを先生に受けてもらったらどうでしょう。中学の先生にはお気の毒ですが、そもそも英語を話せなくても先生になれるし、40人の生徒に先生ひとりでは英語の習得は無理です。いくら文科省が旗を振っても物理的に無理です。時間が圧倒的に足りません。せめてひとりひとりが自主的にAIを使って英会話の練習をすれば、いくらか良くなると思います。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE232TZ0T20C23A7000000/

2023年7月28日金曜日

実家

英語には日本語の「実家」に相当する名詞がありません。そこで翻訳では「my parents’ house」(私の両親の家)と説明します。実は日本語の「実家」とは「自分が育った家」なので「the house which I grew up with」という言い方もできます。子供時代に複数回引っ越しした場合は、最後に住んでいた家が「実家」となります。「実家」には今でも両親が住んでいる事が前提なので、両親が死亡していないかぎり空き家ではありません。アメリカ人は一生の間に仕事を求めて何度も引っ越しするので、あまり実家という考え方はしません。農家なら先祖代々住む家があり、それ以外なら両親の家があるだけです。その両親の家も、年取った親が老人ホームに入る時に売ってしまうのが普通です。農家や大金持ちでない限り、子供が家を遺産として受け継ぐ事は稀です。

2023年7月21日金曜日

Thought-terminating cliché

議論をむりやり止めてしまう決まり文句のことです。そうした決まり文句は英語にも日本語にもあります。例えば「You know nothing about it」とか「あなたは何も理解していない」という文句です。これだと議論の手がかりがないので、「例えば〜が〜だとという事を理解している」という反論から始める事になります。また「〜という事になっている」という文句に対しては「それは誰が決めたのか」という質問が可能です。「〜と言われている」という文句には「誰がそう言ったのか」という反論で相手の主張に根拠がない事を指摘しましょう。

2023年7月14日金曜日

step down と resign

「辞任する」と「辞職する」という動詞です。前者はある役割(社長とか取締役)を辞めるという意味で、後者はある職(会社員とか公務員)を辞めるという事です。つまり後者の方が大きな変化です。

2023年7月8日土曜日

magic wand

日本語ではなぜか「魔法の杖」と翻訳されます。「wand」は「杖」ではなく「棒」が正解です。例えばオーケストラの指揮者が使う指揮棒は「wand」です。ではなぜこれが「魔法の杖」となったのでしょう。それは指輪物語のガンダルフをみれば分かります。魔法使いであるガンダルフが持っているのは「staff」つまり「竿」です。ところがガンダルフは白髪の老人という姿なので、老人が持つ物は「杖」にちがいないという発想から「魔法の杖」ができたと考えられます。杖は「cane」または「stick」が相当するため、最初から意訳されています。魔法使いにも色々な人がいるので、その道具も色々です。それをひとつの「魔法の杖」で押し通した翻訳者の悩みがうかがえます。

2023年6月23日金曜日

Life finds a way

映画「Jurassic Park」に出てきた有名な表現で、「生命は生きのびる方法を必ず見つける」という意味です。遺伝子操作で子孫を残せないはずの恐竜が卵を産み、繁殖してしまった世界の物語です。現実の地球上では至る所に生命が発見され、摂氏百度を超える温泉の中にも、また深さ5キロメートルを越える深い地中にも微生物が生きています。つまり一度誕生した生命はそう簡単には消えません。「Life」を別の名詞に置き換えれば、シャレとしても使えます。

2023年6月16日金曜日

put one's money where one's mouth is

「金を口のあるところに置く」から転じて「口先だけでなく実際に行動する」つまり「有言実行」という意味です。参照先としてあげたWall Street Journal Japanのページ[^1]には、これ以外にも記事に使われる表現の解説が載っています。

2023年6月8日木曜日

出稼ぎと英語

2030年頃には、日本でも海外に出稼ぎに行くのが普通になります。国内の賃金は低いので、その2倍や3倍もらえる外国で働くのは魅力的です。その頃には日本の経常収支は赤字になり、海外から日本に送金される外貨に頼る国になります。出稼ぎには現地の言葉を話せる事が必要です。言葉ができないと最底辺の仕事しかなく、それでは出稼ぎの意味がありません。英語国で働くには英語が必要なので、プロの使う道具としての英語を身に付けるには留学するのが一番です。もしそれができない場合は、出稼ぎではなく国内で働いてまず英語力を身に付けましょう。外国人観光客相手の英語を使う仕事でも構いません。国内の仕事でお金を貯めて語学留学するか、ワーキング・ホリデー制度を使って海外で働く事をおすすめします。

2023年5月26日金曜日

Silence is Complicity

「沈黙は共謀」という意味です。本の題名にも使われています。最近ではバイデン大統領が「人権侵害」について演説した際に登場しました。また去年のロシアのウクライナ侵攻の際に、心の中では戦争反対なのに弾圧を恐れて黙っているロシア人に対しても使われました。日本でも年齢差別や女性差別、さらにLGBTQの文脈において登場しています。おかしいと思ったら声を上げないと、もっとおかしい事が起きます。差別は差別される側にならないと本当の痛みが分かりません。でも想像力がある人間は、その痛みを自分事として受け止める力もあるはずです。

2023年5月20日土曜日

Speakアプリ

これは話題の生成AIであるGPT-4を使った英会話練習アプリ[^1]です。無料で試せるのは最初の一週間のみで、その後は月間または年間の有料プラン[^2]に移行する必要があります。目玉はAIが会話練習の相手をしてくれる事なので、人間と話す勇気がない人にはピッタリです。筆者は2022年に英語と日本語でChatGPTを使った事があり、すぐにこの技術が英語練習アプリにも使われるだろうと予想していました。無料でお試しもできるので、英会話の練習アプリのひとつとしてお勧めします。最初の試用期間が一週間と短いので、時間のある時にアカウントを登録するのが良いでしょう。

2023年5月13日土曜日

小学校英語教育の画餅問題

公立小学校で英語を必修化してから3年たち、画餅問題が明らかになっています。小学校で学んでいるはずの700単語、英語で英語を教えるという理想、文法を教えたい教師との矛盾、つまり文科省が絵に描いた餅としてかかげた目標[^1]はなにひとつ実現していません。そもそも英語で仕事ができる教師がほぼいない公立小学校の実情を考えれば、こうなる事は最初から分かっていました。大学出なら英語を知っているというのは、英語の文法を知っているという意味です。泳げない大人が子供に泳ぎ方を教えるようなもので、笑止千万です。小学校の英語は、日本語に輸入された英語がどれだけあるか、それをカタカナではなく英文字で書くとどうなるかを教えれば十分です。自分にできない事を子供に強制してはいけません。

^1: https://dot.asahi.com/aera/2023051100063.html

2023年4月27日木曜日

rescue or recovery

事故や災害時に行う人命救助を表すのが rescue で、被害者が死亡している時は遺体収容 recovery という作業になります。地震では最初の72時間に集中的に rescue を行い、その間の遺体収容は後回しになります。そこで前半の活動を search and rescue 捜索救助と呼びます。各国の救助隊が活動するのもこの前半です。日本では遺族への忖度の結果、なかなかこの表現の切り替えができません。宮古島で自衛隊ヘリが海中に沈んでからもう数日経つのに、「海底の隊員を発見し救助する」という表現を使います。心肺停止と同じく、今だに生き返らせる事ができるかのような言い方です。でも英語では rescue と recovery という具合に使い分けるので、不正確な表現では意味が伝わりません。もし本当に救助なら一刻も早く海底に行くべきですが、実際には機体と遺体の収容[^1]なので安全第一で海が静まるまで待つのは当然です。

2023年4月20日木曜日

給料倍増

もしあなたがサラリーマンで、給料を倍にしたければ英語を学びましょう。英語を仕事の道具として使えるようになれば、国内なら外資系で働く事ができ、海外なら日本よりはるかに給料が高い会社で働くことができます。いくらAIが発達しても人の信用をベースにビジネスが動く以上、英語は最強のスキルです。非公式な会合で大事な事が決まるビジネスの世界に、AIや通訳が入る余地はありません。

2023年4月15日土曜日

gag reel

映画の撮影で役者がセリフを間違えて笑ってしまう等の失敗カット集を「gag reel」と呼びます。これに相当する日本語は「NG集」です。「gag」は「冗談」、「reel」は「フィルムを巻いた物」という意味です。

2023年3月31日金曜日

大谷会見の日米差

このFoxビデオ[^1]は大谷選手にアメリカ人が英語でインタビューしており、一平通訳のおかげで日本語も聴けます。ふだん日本人が日本語で行う大谷の会見はある意味つまらないのに、この英語の会見が面白いのはなぜでしょう。それは日本語の会見だとアナウンサーが「建前」的な事を尋ねるからです。すると大谷も「建前」的な回答をします。ところがアメリカ人の元選手は遠慮せず「本音」をぶつけるので、大谷の「本音」を引き出す事ができます。特に試合直後の会見では、その道のプロが聞きたい質問や本人が答えたい質問に視聴者は興味があります。それには会見で元選手にインタビューしてもらえば良いのです。試合経験のないアナウンサーでは、答えが予想できるつまらない質問になりがちです。

2023年3月25日土曜日

chancemaker

野球でよく聞く和製英語のひとつです。好機を作り出す人という意味でしょう。英語の辞書にはない単語なので、欧米人には通じません。同じように「moodmaker」も辞書にはありません。この「mood」には「気分」とか「不機嫌」という意味があり、あまり肯定的な使い方はありません。反対に「widowmaker」は辞書にあるように「危険な兵器・病気」という意味があります。他には「policymaker」に「政策立案者」という意味があり、「peacemaker」にも「調停者」という意味があります。

2023年3月17日金曜日

Madam and Miss

アメリカ英語では、名前の分からない女性に話しかける時に使う言葉としてmadam (ma'am)とmissがあります。一般に既婚女性にはmadam、それ以外にはmissを使うのがアメリカの慣習で、呼びかけられた女性にとっては違和感の源[^1]となる事があります。つまりそれまでmissと呼びかけられてた女性が、ある日を境にmadamと呼ばれると「自分はもう若く見えないのか」と考えるそうです。少女っぽい人にはmiss、大人っぽい人にはmadamを使うという習慣もあるので、結婚指輪をしてない限りその区別は使う人によります。でも男性ならsirひとつで済むのに、女性には変な区別があっておかしいという意見は当然です。そもそも性別すら外見で決められない時代に、男女で違う言葉を選ぶのは無理があります。

2023年3月11日土曜日

physical education

文字通り「体育」です。この場合のphysicalは人の体を表します。体育は学校で体力を付けるための教育として行うもので、利益を目的とするスポーツとは違います。よく相撲がスポーツかという議論があるように、日本にはもともとスポーツや体育という考えはありませんでした。もちろん相撲は興行であり、スポーツではありません。スポーツにはアマチュアとプロがあり、前者は自分が好きでやるもの、後者は好きが高じて職業としてやるものです。昔から日本にある武道はスポーツではなく、武士の体育に相当します。武士が廃れた現代の日本では、武道は古典体育という位置づけです。

2023年3月4日土曜日

オールイングリッシュデー

2022年秋に山形県の中学校でまる一日の授業を英語で行う「オールイングリッシュデー」[^1]が行われたそうで、良い試みだと思います。英語を学ぶのではなく、英語で何かを学ぶというのが英語を身に付ける近道です。英語は道具なので、とにかく使ってナンボです。計11人のALTが全校生徒152人に「国語の時間に英語で俳句を作ったり、社会で国旗を学んだりした」そうです。「休み時間の会話まで英語漬けの1日」とは、なんとも羨ましい状況です。まる一日英語漬けになる事で英語に慣れ、その後の学習にも役立つでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1019D0Q3A210C2000000/

2023年2月25日土曜日

mindset

「心構え」に相当します。辞書を引くと「考え方」となっており、それもアリです。「mind」には複数の意味があり、西洋人的には動物にはない「理性」を表します。動物を殺して食べるには動物と人間を区別する必要があり、西洋では動物に理性がない事になっています。魚は傷みを感じないという主張もあり、こちらは科学的に否定されています。

2023年2月17日金曜日

What doesn't kill you makes you stronger

歌の文句にもなっている有名な表現で「つらい経験は貴方をより強くする」という意味です。失恋した人に慰めの言葉として言う場合や、逆境にいる自分を鼓舞するために自分に言い聞かせる場合などがあります。「貴方を殺さないモノ=つらい経験」という言い回しがポイントです。

2023年2月10日金曜日

hold a candle to A

「Aに肩を並べる」という意味で、その否定形として「cannot hold a candle to A」として「Aの足下にも及ばない」という表現としてよく見かけます。例えば「When it comes to fictional villains in literature, art, comics, video games, and movies, few can hold a candle to Darth Vader.」(小説、絵画、コミック、ビデオゲーム、映画に登場する架空の悪者として、ダースベイダーに匹敵する者はいない。)という例がありました。

2023年2月3日金曜日

言い換え

この記事[^1]にある「簡単な表現に言い換える」はとても役に立つので、ぜひ覚えておきましょう。日本語を英語にする場面だけでなく、日本で出合う外国語話者に日本語を話す時も、より簡単な表現を使うとお互いに便利です。簡単な表現は汎用性が高いので、筆者は言いたい気持ちにぴったりの表現が記憶にない場合、よくこの言い換えを使って英語国で30年生きてきました。翻訳アプリがなければ「手持ちの札で勝負するしかない」まさにその通りです。

2023年1月28日土曜日

go straight to my head

「自分の頭にすぐ入る」から転じて「自分をすぐ酔わせる」という意味と「有頂天になる」という意味があります。誰かに褒められた時に「That goes straight to my head」と言えば「そんなに褒められたら有頂天になっちゃう」という返事になります。

2023年1月20日金曜日

現代英語教育

古くて新しい問題が日本の英語教育です。こちらの報道[^1]によれば、日本はTOEICの平均点で韓国や中国はおろか、モンゴルにも抜かれてアジアのビリから二番目にいます。それだけ国内でビジネスが閉じているという事で、アジアの中で相対的に経済力が落ちていくのは避けられません。9割の日本人はAI翻訳で事足りるので、英語力が必要なのは留学したり海外駐在する従業員です。こうした人たちが英語力を付けるにはふだんから英語を使う必要があり、それは私立なら可能でしょう。鶏と卵の関係があるので、教員の英語力が低ければどうにもなりません。英語を学ぶのではなく、英語で算数や理科を学ぶという発想です。公立学校で英語を教えても時間の無駄である事はもう実証済みです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA171PA0X11C22A2000000/

2023年1月13日金曜日

immersion method

子供に英語を学ばせる最良の方法は「immersion method」(没入法)です。これをやるには生徒の数を限定し、3人までとします。最初から英語で話しかけ、子供同士も英語だけにします。一切日本語は使わず、そのかわりすでに知っている題材を英語で学びます。挨拶から質問まで英語に限定し、英語以外に使って良いのはジェスチャーだけとします。一時間みっちり英語漬けにするのがこの教育法です。なお大人の場合は朝から晩まで1対1で英語だけ使って会話します。

2023年1月6日金曜日

earworm

「耳の虫」ではなく「頭の中で続く音楽」という意味です。気に入った音楽が頭の中で鳴り止まないという経験は、多くの人がお持ちでしょう。他にもwormを使った表現があり、bookwormは「本の虫」という日本語になっています。虫を英語にすると「bug」「worm」「beetle」「insect」などが相当します。bugは小さい虫、wormは足のない虫(ミミズ、芋虫)、beetleは甲虫、insectは一般に昆虫を表します。